コロナ禍で注目度が高まっているのが「地方移住」です。
「満員電車に乗らなくていい」「自然を満喫できる」「のんびりしてる」など、何かと良いイメージのある地方移住ですが、気を付けるべき点もあります。
実際に田舎出身者で、東京にも住んだことのある私が解説していきます。
地方移住したい?
仕事面でのデメリット
地方と東京の大きな差は、仕事の量と質です。
当たり前ですが、給料が高い仕事の大半は東京に集中します。仕事の数も東京が圧倒しています。
実際に、都道府県別の平均年収では、東京都だけが唯一の400万円超で、最低の青森県では250万円程度しかありません。
もちろん、年収の多い・少ないは場所だけで決まるものではなく、
- 業種
- 職種
- 役職
による影響は大きいです。
ただ、地方で高年収の方は「有名大企業の支店・支社勤務」でしかなく、大半は東京本社です。
また、知識やスキルがない方は、地方移住すると単純作業的な業務をするしかなくなります。
- 飲食店の店員
- 介護職
- 事務系職種
これらの仕事を批判するわけではありませんが、東京で仕事をするより年収は下がります。
リモートワークができるIT系でスキルがある方は地方にいても年収は落ちないと思いますが、そんな方は稀です。
生活面でのデメリット
奇跡的に仕事面のデメリットはクリアできる、又は妥協できるとしましょう。
生活面のデメリットに躓きます。
多数ありますが、一部ご紹介します。
①不便な公共交通機関
地方でも政令指定都市クラスなら問題ありませんが、それ以外は悲惨です。
1時間に数本あれば良い方で、1日に10本もないような路線が数多く存在します。
また、駅を中心とした街づくりをしていない関係で、車なしではどこにも行けません。
スーパーなども駅前には存在しないことが多いです。
実際に私の田舎では、車無しではスーパーにすら行けない状態です。コンビニも車で15分はかかります。
東京の満員電車は、それだけ鉄道が便利な乗り物であることの証明とも言えます。
②ほとんど変わらない生活費
野菜を自家栽培、肉は食べずに毎日釣った魚で食べて、米はもらう、ここまでできるなら別ですが、大抵の方はやらないでしょう。
スーパーで買い物をしていると、東京の方が安く感じます。
東京は業務スーパーから高級スーパーまで充実しており、選択肢も多いです。
地方ではスーパーの数は少なく、全く競争が生まれません。
そのため価格はむしろ高くなります。
大半の田舎では自動車かバイクは必要で、いずれにせよ維持費がかかります。
小型バイクなら月の維持費は数千円~5000円前後で何とかなりますが、自動車の場合は軽自動車でも月1万円程度、普通自動車なら月2万円程度です。
家賃が安くなると言っても月1万円台の部屋は稀ですから、実際に入居する際は3万~4万円はかかります。
全てを考慮すれば、東京で家賃10万円クラスの部屋に住んでいる富裕層を除いて、大して変わらないのが現実です。
③交通事故のリスク増
地方は車の運転に慣れているはずなのに、交通事故は何度も起きます。
- 横断歩道で渡らない歩行者
- 判断能力が衰えた高齢者ドライバー
- 狭い道での「来ないだろう」運転
これらが原因です。地方、都会と関係なく交通事故は起きますが、高齢者の多い田舎では高齢者ドライバーの事故が増えているのも現状です。
人間関係のデメリット
「地方は人が優しい」「東京は冷たい」というイメージがありませんか?
東京は様々な場所から移住した人も多く、人口密度も極めて高いです。
そのためか、「お互い様」の精神が行き届いています。
田舎ではご近所同士が助け合う、というイメージがあるかもしれませんが、古き良き助け合いはあまり機能していません。
どうしても地方移住したいなら
以上のデメリットから、東京出身者の地方移住はオススメできません。
どうしても地方移住したいなら、下記のような地方へ行くのがオススメです。田舎とは異なりますが、東京での暮らしとは違いがあります。
- 関東圏以外の政令指定都市
- 東京から40分~50分くらい電車で離れたターミナル駅がある都市
関東圏以外の政令指定都市の中では、大阪や福岡が特に家賃が安く、その割には東京に準ずる便利さも備えていてオススメだと思います。
東京から電車で40~50分圏だと、ただのベッドタウンでしかありません。
それでも東京ほどの騒々しさはなく、満員電車さえ我慢できるなら十分検討の余地ありです。
東京の西側は割と人気なので、あえて柏、千葉あたりに住んでみるのは良いかもしれません。
まとめ
地方移住について解説しました。
「政令指定都市なんて地方じゃない」
「ただのベッドタウンに住んだって何も変わらない」
というツッコミが聞こえてきそうです。
しかし、長らく東京暮らしで定着した人間が、一時の感情で不便極まりない田舎に移住して適応できる人は少ないです。
「思ったのと違う」となって後悔するのが目に見えています。
移住には様々なコストがかかりますし、ストレスも溜まります。
本当の地方移住をどうしてもしたいなら、慎重に検討した上で実行しましょう。