子供が幼稚園に入園すると、大変だった子育てもひと段落です。
一方で、教育費という重い負担のスタート地点でもあります。
そんな教育費の中でも過半を占める、学費について国公立、私立に分けて解説します。
学費総額はどれくらい違う?
1.大学まで進学した場合の学費総額
大前提として、大学まで進学すると仮定します。
実際に大学進学率は50%を超える状態が続いており、年々増加傾向です。
大学進学しても低収入なフリーターになってしまう例はあるものの、平均的な年収は間違いなく大学進学者の方が高いのも事実です。
そんなことは少し調べれば分かるので、「大学までは行かせたい」と思うのが親心でしょう。
では、大学まで進学した場合の学費の総額はいくらになるでしょうか。
文部科学省が出している調査資料を参照すると、下記の通りになります。
- 全て国公立:約800万円
- 全て私立:約2200万円
なお、大学の学費は国立なら学費問わずほぼ定額ですが、私立は文系か理系かによって大きく異なります。
上記の合計金額は私立文系大学の場合であり、私立理系(医学部、薬学部、歯学部以外)なら+100万円~200万円かかります。
2.幼稚園
- 国公立:約70万円
- 私立:約140万円
幼稚園は原則3年間なので、年間23万円~24万円前後私立の方が高くなります。
国公立と記載していますが、国立の幼稚園は大変数が少ないため9割方が私立か公立(市区町村立)の幼稚園です。
学費の差はサービスの差でもあり、私立はバスでの送り迎えや給食が一般的であるのに対し、公立は親が送り迎えをしたり、お弁当を作るのが一般的です。
公立幼稚園は公立小学校の4分の1程度しかなく、通うのが難しい地域もあります。
可能であれば、教育体制が充実した自治体にあらかじめ移住しておいた方が良いでしょう。
3.小中学校
- 国公立小学校:約200万円
- 私立小学校:約920万円
- 国公立中学校:約150万円
- 私立中学校:約400万円
最も私立と公立で学費の差があるのは、実は小学校です。
そもそも、私立小学校は日本にほとんどありません。大半が公立です。
そのため、本当にごく一部の裕福な家庭しか私立小学校は行けません。
仮に無理をして通わせても、経済力の違いで子も親も疲弊するだけです。
中学校でも私立は公立の2.5倍以上の学費がかかります。
エスカレーター式で大学まで行けるような中学校ならまだしも、地方にある大してレベルの高くない学校に高い学費を払う必要性があるのかは疑問でしょう。
高校以降は、試験に合格しなければ国公立には通えません。
そのため、お金がなくてもやむを得ず私立を選ばなければいけない場面が出てきます。
裕福でないなら、小中学校は公立を選択しておくのが無難です。
4.高校
- 国公立:約140万円
- 私立:約320万円
上記は一般的な全日制高校の学費になります。
レベルの高い国公立高校は、試験に合格しなければ入学できない点が小中学校とは異なります。
私立高校は、中高一貫の私立高校に通っている方を除けば「国公立に入れなかった層」が入る高校です。
学生のレベルは基本的に低く、教育サービスも良いとは言えません。
180万円の価格差もあるので、多少お金をかけても中学生のうちに塾に通わせて国公立高校入学を目指すのも戦略の一つです。
5.大学
- 国公立:約250万円
- 私立文系:約460万円
- 私立理系:約580~680万円
大学は、高校までとは事情が大きく異なります。
国公立、私立問わず、遠方の大学に通う場合は生活費が一気に上がります。
4年分の生活費の差
- 実家:192万円
- 一人暮らし:480万円
生活費だけで300万円近い差が生まれますので、国立大学で一人暮らしより私立大学で実家暮らしの方が安くなります。
また、大学の知名度やレベルによって就職活動も大きく影響しますし、地方より大都市にある企業の方が年収が高い傾向もあります。
実際に、厚生労働省の令和元年「賃金構造基本統計調査」で都道府県別の平均年収をみると大きな格差が見られます。
- 東京都(1位):408万円
- 青森県(47位):259万円
年間150万円程度の差になれば、10年で1500万円です。
数百万円近い学費や生活費の差も、十分埋められるでしょう。
大都市圏は物価が高いと言われますが、高いのは家賃くらいでそれ以外は大差ありません。
車を持たなくて良いので、家賃の比較的安い地域に住めば高収入と低コストも両立できます。
大学に関しては、目先の費用だけでなく将来性も考慮して選んだ方が良さそうです。
まとめ
学費について解説しました。
高校まで国公立、大学は私立と考えると学費だけでも最低1000万円程度はかかります。
学費以外に生活費や塾などの習い事費用も含めれば、子供を1人育てるのに2000万円では足りないくらいでしょう。
将来子供を産む予定がある方は、10年先20年先を見据えてお金を貯めて備えましょう。