MSC認証をご存じですか?MSC認証とは、持続可能な漁業によって得られた魚介類につけられるもので、別名「海のエコラベル」とも呼ばれています。近年では、マクドナルド社の人気バーガー「フィレオフィッシュ」をはじめ、様々なお店で認証マークを見かけるようになりました。
一方で、まだ日本では知名度が低く、詳細を知らない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は「MSC認証」とは何なのかご紹介します。
これからの時代知っておきたい:海のエコラベル「MSC認証」
海や魚にある問題
世界の3割以上の水産資源が「獲りすぎ」
魚や貝、海藻などの水産資源は、世界中で漁獲され、消費されています。
しかし、資源量に対して適切なレベルで漁獲されているのはわずか66%程度で、残りの34%は持続が難しいほどの「獲りすぎ」状態なのです。
そのため、世界中の人の暮らしに欠かせない漁業を今後も続けていくには、漁獲量の見直しが重要になっています。
魚を獲りすぎるとどうなる?
水産資源を必要以上に獲りすぎることは、魚の減少や絶滅、海の生態系のバランスを崩してしまうことにつながります。養殖できる量にも限界があるため、人間の食糧危機にもつながります。
また、過剰漁業(水産資源を獲りすぎること)をしている業者のほとんどが、違法や無報告であり、漁獲量のルールを守っている優良業者が損をするという側面もあります。
私たちにできることは?
上記から「魚を食べないほうが良いのか?」というと、そうではありません。水産資源は良質なタンパク質です。また、漁業は多くの国や人の生活を支える重要な仕事です。
そして、それを助ける一つとして「MSC認証」が存在します。
海のエコラベル「MSC認証」
水産資源を守るために作られた認証
MSC認証とは、Marine Stewardship Council(海洋管理協議会)という組織が作っている認証マークです。持続可能な漁業を通して得られた天然の魚介類につけられています。適切な漁獲量や、管理体制などの厳しい審査を通過したもののみが認証マークをつけるルールとなっているのです。
MSC認証されているものは、青色のマークで見分けることができます。
MSC認証が必要な背景とは?
MSC認証は、水産資源の量を維持したり、海の生態系を守る目的でつけられています。また、消費者にも一目で分かりやすいマークをつけることで、環境に良い商品を選びやすくなります。これは、ルールを守らず過剰漁業をする業者を減らし、良い漁業者の経営を守ることにもつながります。
商品にMSC認証をつけるメリットは?
世界中には、パッケージにMSC認証マークがついた商品がたくさんあります。企業が自社商品にマークをつけるメリットは、いくつかあります。一例としては次の通りです。
- 水産資源や海を守れる
- 管理体制が改善し、安心、安全な食材を提供できる
- 環境に配慮した食材を取り扱っていることをアピールできる
MSC認証をつけるには、どこでどのように獲られた食材なのかを管理する必要があります。そのため、トレーサビリティや異物混入への対策により食品の安全性が増します。また、企業のブランディングにも良い影響を与えます。
MSC認証品の選び方や取り組み事例は?
MSC認証品の選び方は?
MSC認証された商品のパッケージには青色のマークがついています。そのため、認証品を選ぶ際には、パッケージの記載内容に注目してみましょう。生の魚や貝だけでなく、魚介の練り物や缶詰などにもついていることがあります。
MSC認証マークのついた商品を積極的に購入することで、認証マークの普及にも貢献できます。
「ASC認証」との違いは?
似たようなものとして「ASC認証(水色のマーク)」があります。MSC認証が天然物を対象としているのに対して、こちらは、養殖された水産物につけられるマークです。水質汚染への対策や労働条件の整備を行い、審査を通った業者のみがマークをつけることができます。
スーパーにあるお寿司や海鮮丼などには、MSC認証とASC認証が並んで記載されている場合もあります。
日本企業のMSC認証取り組み事例
日本では、イオンリテール株式会社や日本水産株式会社がMSC認証マークを導入しています。具体的には、スーパーに並ぶ水産物や鮭のおにぎり、練り物などに認証マークがついています。また、パナソニック株式会社の社員食堂ではMSC認証のついた食材を仕入れて食事を提供するなど、飲食シーンでの普及も始まっています。
まとめ
サステナブルな漁業活動のための「MSC認証」についてご紹介しました。日本ではまだ知名度は低いですが、今後ますます商品が増えていくのではないでしょうか。
生態系や海を守る、というと難しく聞こえるかもしれません。しかし、水産資源について正しい知識を持ち、認証マークのついた商品を選ぶだけでも、社会や環境に貢献できます。
美しく豊かな海を保つために、できることからはじめていきましょう。